中選挙区制の復活を

内閣府移行認可 一般社団法人 日本地方新聞協会
会 長 冨 田 正 敏


 安全保障関連法は強行採決に近い状態で可決成立したが、昨年12月14日に投開票した第47回衆院選の小選挙区の結果を振り返ると自民公明の与党の合計得票数が約2623万票(得票率49.5%)、野党の合計得票数が約2671万票(得票率50.5%)であり、得た議席数は与党が232議席(議席率78.6%)、野党は63議席(21.3%)であった。
 結果は議席に繋がらない死票があまりにも多く、民意が伝わりにくく民主政治の根幹である多数決の理論が成り立たない状態だったといえる選挙制度だ。
 小選挙区制についてのメリット・デメリットは「政権交代が起こりやすい」などと有権者の意思が直接政治に反映できる反面、死票が多く生まれて民意が伝わりにくく、少数意見は全く反映されない。
 中選挙区制は死票を少なくするメリットがあるが、政権交代が起こりにくいデメリットもある。
 中選挙区制は1994年に廃止されたが、その後の選挙結果を見ると総得票数が過半数に満たない政党が3分の2以上の議席を得る結果となり、2011年に渡部恒三氏や加藤紘一氏が世話人となり「衆院選挙制度の抜本改革を目指す議員連盟」を発足させて中選挙区制の復活を目指したが実現には至っていない。
 死票の山を築き民意が反映されず、少数意見が全く無視される小選挙区制は選挙制度の弊害で生まれた巨大政党の一党独裁を招きかねず、小選挙区で落選した議員が復活当選する現行の選挙制度に反対し、中選挙区制の復活を強く提言する。

選挙制度改革