「テロ等準備罪」で自由が奪われる

内閣府移行認可 一般社団法人 日本地方新聞協会
会 長 冨 田 正 敏

 政府は「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案を閣議決定し、衆院に提出し今国会で成立させる方針だが、同様の法案である「共謀罪」は過去に3回も廃案になっている。

 日本の法律で定義されている「犯罪」は法によって禁じられて刑罰が科せられる根拠となる事実や行為をいい、一部例外を除けば罪を犯す行為が無ければ「犯罪」は成立しない。

通常計画だけでは「犯罪」は成立しないが、「テロ等準備罪」は罪を犯すことを計画して準備すれば、それだけで既に「犯罪」になり、似通った法律が戦前にあった「治安維持法」である。

同法は国体や私有財産制を否定する運動を取り締まる目的で作られた法律だが、自由主義、政府批判などが弾圧・粛清の対象となって、特別高等警察が思想警察として社会主義運動などを取り締まった暗い歴史があった。

拡大解釈により言論を封じ込めることも可能である法律、特に「テロ等」の「等」は様々なケースが考えられるだけに言論の自由を奪いかねないために、組織犯罪処罰法改正案に反対する。